西洋薬と漢方薬それぞれの役割

薬と聞くと多くの人が思い浮かべるのは、錠剤やカプセルの形をした西洋薬だろう。
西洋薬は特定の病気や症状の原因に対して、ピンポイントで作用するように化学的に合成された単一の成分で作られている。
例えば、細菌を殺すための抗生物質や痛みを抑えるための鎮痛剤などがこれにあたる。
熱を下げたり、痛みを止めたりとつらい症状に対して素早く、強力に効果を発揮するのが大きな特徴だ。
その反面、効果がシャープな分目的以外の副作用が現れる可能性も考えられる。

一方、漢方薬は二種類以上の生薬を組み合わせて作られる。
生薬とは植物の葉や根、鉱物といった自然由来の原料のことだ。
漢方薬は一つの薬でさまざまな成分が複合的に働き、体全体のバランスを整えることを目指す。
そのため、西洋薬のように一つの症状を狙い撃ちするのではなく、「冷えやすい」「胃腸が弱い」などその人の体質や症状の全体像に合わせて処方される。
効果の現れ方は比較的穏やかだが、体が本来持つ治癒力を高め、不調の根本的な原因に働きかける力があると考えられている。

近年では、医療現場でも西洋薬と漢方薬を組み合わせて治療が行われることが増えてきた。
がん治療で西洋薬の副作用に苦しむ患者さんには、吐き気やだるさを和らげる漢方薬が処方されるケースがあるのだ。
また、風邪のひき始めに漢方薬で体の免疫力を助け、症状が重くなったら西洋薬でしっかり抑えるといった使い分けも有効と言える。
どちらの薬にも長所と役割があるため、医師や薬剤師に相談して自分の症状や体質に合った薬を正しく使うことが大切だ。